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DNAに刷り込まれた昭和を結びつける作業

2011.12.02

私がよく利用する家具店は、若者の多いショッピングモールの中にあり、いつも夫婦連れや学生らで大変にぎわっている。陳列された家具や照明器具は、全て1DKのアパートにも納まるサイズで、アンティークと見まがうシャンデリアも1万円程度。しかもワンルームに吊しても様になる小さめのサイズだ。二人掛けソファも、ちょっとしたキッチンにも置けるほどで、常時予約待ちとなっている。この店の店長と話をした時、彼は面白いことを言った。

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「日本の家って、「もったいない」から始まっているのですよね。狭い庭先まで縁側にして使い切る感覚。僕らはその流れを受けて、ヨーロッパの田舎で見るような、こぢんまりした住まいをいつも意識しているのです。この2つって、発想の元が似ていると思いませんか」結局、今回もここで、天板が広がったり収まったりするバタフライ式食卓テーブルを買った。デザインといい、サイズといい、明星ハイツにぴったりだと思ったからだ。私はいつの時も「洋」を住まいの中心軸に置いてきた。それは自分の原風景と相反するものだと思ってきた。けれど幼少の頃、両親と暮らしたら畳一間の貸家、ちゃぶ台や背の低い食器棚は、どこかでロンドンの暗く狭い貸間と結びつき、和と洋はいつしか混ざり合っている。子どもの頃の住まいにロンドンの住居や自分の経験値を加えて、懐かしい世界をふたたび手元に引き寄せたいと願っている。そうか。明星ハイツを土台にロンドンフラットを作るということは、自分の中の憧れと、DNAに刷り込まれた昭和を結びつける作業だったのかもしれない。一度は和を捨てた自分が、たそがれるロンドンの住空間に魅せられた理由。それは西洋への憧憬ではなく、葬り去った懐かしい過去への回帰だったようにも思えてきた。