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時に異様であり、時に戯画的

2011.11.11

最初に登場するシリンダー状の塔の内部では、大理石の床や黒御影の柱などがアールーデコなどのデザインを思わせるし、長大な喫茶コーナーは、近未来的感覚と古代の神殿とが接合したようなSF映画のセットを連想させるからである。ほかにも世紀末ウィーン風のレストランがつくられていたり、和紙を使った照明器具などが飾られたりしているのだが、総じていえば、ここには古代からゴシック、ウィーン分離派からアールーデコ、機械主義、さらには和風からハイテクスタイル、SF映画のワンーシーンまでが、無秩序なまでに混在し、かつそれらが幾重にも反復しているのである。

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建築家はこの作品の中に、彼が見てきたもの、あるいは彼の記憶にとどまっている風景の、さまざまなものを練り込んでしまったかのようだ。それは確たる規範や秩序を失った、文字通り現代のビザールな(奇怪な、あるいは歪んだ)時代の表現としていい。そのさまは時に異様であり、時に戯画的ですらある。しかし一方で、そうしたビジョンは、何も彼個人の表現というよりも、この時代の抱える歪みそのものなのである。たとえば私たちは、日常品や食物を、生きるために必要とされる以上に生産し消費している。あるいは必要以上に食べ、必要以上の服を買う。兵器にしても同じことであろう。過剰な生産と消費を絶え間なく続ける現代社会、そのバロック的な欲望を、建築家の作品は皮肉なかたちで示しているのではあるまいか。