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超高層の方が楽である

2011.11.04

日本のような地震国では、超高層ビルなどは到底できるはずがないといった考え方が、少なくとも終戦前までは支配的であったし、法的にも建築の高さは、三〇メートル以下に制限されていた。それが現在では、高層建築はもう珍しい存在ではない。これはどんな理由によるものであろうか。強震計が地震動をひとつ記録すると、応答スペクトルが一枚書ける。だからアメリカや日本で強震計の記録がだんだんふえると、われわれが手にできる応答スペクトルの数もしだいに増えてきた。

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そこでこういった多くの応答スペクトルを並べて眺めてみると、その形は実に千差万別なのだが、一つの共通したパターンがあることに気がつく。スペクトルが右下がりになっている。実はこれがどんな地震動にも共通なパターンなのである。応答スペクトルが、建築への地震動入力−建築に働く力−を表わすものである。だからこのパターンは、固有周期が長い、つまり柔構造の建築に対して地震動か与える力は、それほど大きくはないということを物語っている。だから、「柳に風」といった形容は、地震動の場合はぴったりとは当てはまらないが、元来高い建築は柔らかくて固有周期が長いのだから、強い力にさらされることはない。これが日本のような地震国でも、高層建築を可能にした原理であり、その原理の根拠は応答スペクトルの蓄積にある。こういった共通のパターンからいうと、固有周期の長い建築に、非常な大加速度で、強い響を与える−つまり長周期の成分が非常に優勢な地震動は、いまだかつて無いということができる。